「頭悪いんだから、林檎食べた方がイイわよ跡部。」

は跡部に会うなりそう言った。
約束の時間に遅れたのにも関わらず、謝罪はなしだ。





[  デ ン   ]





「頭悪いってテメェ、俺様の何処が頭ワリィんだよ?」
「だって跡部、他人の事考えられないでしょ。つまり感情を分ってないイコール頭悪い。」


は跡部に林檎を渡した。
赤い林檎があれば青い林檎もあって綺麗な色が宙をまって跡部の手元に落ちる。
跡部は非常に不服そうにそれを受け取っていた。



「こんなにいっぱいどうしたんだ?」
「跡部んち来る時に、お爺さんに貰った。」
「…何やってんだよ。」
「だって美味しそうだったから…」



跡部はに座るように言った。
今日は珍しく部活がないので、跡部宅でゆっくりすることになった2人。
は10時には跡部の家に行くと言ったものの、実際にが跡部の家に来たのは12時すぎだ。


「んで、何でこんなに来るのがおせぇんだよ」

跡部は不機嫌丸出しでそう言う。
いつもながら自分勝手であることに、は溜息をついた。
が、溜息を尽きたいのは跡部も同じだ。
久しぶりのデートに2時間近く遅刻しているんだ。当然といったら当然だ。



「その林檎をくれたお爺さんが、道に迷ってたから救ってきたの。」



は偉いでしょと一言付けた。
が、跡部はそんなのは理由にならないと一掃した。
はもう一度溜息をつく。まったくこの男は、と言いたげな表情。



「理由にならないって何よ跡部?どうして?
 困ってる人がいたら助けるのが人情でしょ!!」



は跡部を睨んでそう言う。
どうも跡部には人情というものが欠けている。
はそんな跡部があまり好きではなかったが、それも跡部だと割り切っていた。
跡部は跡部で、の優柔不断な所が好きではなかったが、それもだと割り切っていた。


跡部に親切心がない変わりにには親切心がある。
跡部に統率力がない変わりに跡部には統率力がある。


と跡部は互いにない物を補いあえる今の関係に満足していた。
何よりも、それが一番お互いに気を使わないからだ。






「やっぱ、跡部は林檎食べた方がイイわ。林檎って知性の身って言うでしょ。」
「言わねーだろ?」
「あら、アダムとイヴは林檎を食べたせいでエデンを追い出されたのよ?知らないの?」
「あれは神話だろうが。嘘だウソ。」
「夢がないわね。」




の言葉に聴く耳を持たない跡部。
が、何かを思い出したように跡部は笑った。
いつもの俺様ちっくな笑顔。
他人を惹き付けてしまう笑顔だ。



「だったら知らない爺さんから貰った赤い林檎には毒があるぜ?」

跡部は、隣に座ったの腕を自身の方へとひいた。
は体勢を崩して跡部の膝に倒れる。跡部に膝枕をしてもらってる体勢。
不服そうには口をひらいた。



「…何で?」
「白雪姫は赤い林檎食って眠るだろーが。馬鹿だな。」
「ってことは何。私が白雪姫?私、お爺さんの林檎で眠るんだ。」
「ま、そしたら俺が起こしてやるよ。王子様のあつーい口付けでな。」



跡部はの唇に触れる。
ただ触れるだけのキスではなく熱い口付け。
は目の前がくらくらしそうだった。しかし跡部に膝まくらされてる状態なので、
くらくらするどころか跡部の顔を直視せざる終えない。
ましてや驚きすぎて目を閉じられないのだ。


跡部がゆっくりと唇を話す。
透明な糸がひいた。



「……やっぱ馬鹿だ跡部」

私が小さく呟くと、跡部は悪戯げに笑って言った。







「目は覚めたかい白雪姫?」









2004/12/27
 甘い甘い甘い!!私にとって、これは甘過ぎ。恥ずかしい。

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