「…土方さん、危ないです。」
「あぁ?」




[   の 4 分 の 3 は  と 、 ]




は、俺より小さいがとてもしっかりしている。
小さいと言っても、160センチはあるらしい。
けれど、俺からみるとそれは小さいわけだから、は小さいという部類だ。



「助かった。」

俺は小さく礼を言った。
は、いいえと答えて俺の一歩後ろを、絶対に一歩後ろを歩く。
だらしなく着物を着るは、女を捨てているようにも見えるが、その姿はやけに情緒的。
男臭い真撰組唯一の女、それがだからそう考えてしまっても無理はないだろう。


「何度も言いますが、一応土方さんも真撰組副長ですからもう少し警戒心を持って下さい。」
がいれば大丈夫だろ」
「即答ですか。」


は呆れながら苦笑した。
本当にこの女は、と心中で思い、俺は小さな溜息を漏らした。
先程が危ないです、と言ったのは突然斬り掛かってきた浪士の事だ。
いつも通りどうでもいい事を考えていた俺は、にそう言われるまでその存在に気付かずにいた。
そんな俺を、は救ったのだ。

自らが俺の目の前に出て、立ち向ってくる浪士に対して銃口を向ける。
そしていつも通り小さく舌打ちをしてその銃を発砲する。
しかもその銃声はいつも決まっていて、1人あたりに1発だ。
その1発で、確実にあいての眉間を打ち抜く。
まったく敵にしたくない女だ。







「あ。」
「どうした?」
「銀さんだ!!ぎ・ん・さ・んーっ!!」

一瞬にして、の表情が変わった。
いつもの大人びた顔ではなく、子供らしさのある笑顔。
年相応の表情。
の足にはかれた下駄がカタカタと音を鳴らす。
女なのにもかかわらず、は下駄をはく。




「んぁ??」


団子を口にくわえて面倒臭そうに声を発した坂田銀時。
の幼馴染みだ。
(もしかしたらそれ以上の存在かも知れないが/正直ムカつく)



「銀さん、歩き食いはダメだ…って、それ団子!?糖分摂取はほどほどにするんじゃないの……?」
「…い、いつのまに俺は団子なんか持ってんだ!?
 俺のしらなうちに俺の体が勝手に団子をとってしまったんだ…!!」


坂田銀時は口でくわえている団子と右手に持った団子をみて大げさに言った。
そんなようすをみたは、ニヤニヤ笑う。



「嘘はいけないよ銀さん。すごく目が泳いでる。そういうわけで銀さんの団子、もらっていくね。」
「いや、それは俺の団子だ。」
「あら銀さん!糖尿病で死んだら困るから私にその団子をくれるのね!?」
「いや、俺はそんな事一言も…!!」
「ありがとう銀さん!!」


団子を無くした坂田銀時は口をあんぐりあけてを目で追った。
はというと、カランコロンと下駄の音を響かせて俺の傍にやってくる。
3時のおやつです、そう言って坂田銀時が口にしていなかった方の団子を俺によこした。
はというと、坂田銀時のかじった形跡のある団子を食べようとする。



。俺と団子、交換しろ。俺ぁこんなにいらねぇ。一口ありゃ充分だ。」
「…でもこれ、銀さんが食べたやつですよ土方さん。」
「あいつの食ったやつをテメェが食って腹壊したら洒落になんねぇから俺が食う。」


は、眉間に皺をよせた。
そして俺の顔をチラリと見る。



「銀さんと間接キスですよ、土方さん!!土方さんの好きな女性とは違うんですよ?!」
「あぁ?俺はお前にあいつの変な菌が写ったら困んだよ。」
「しかし土方さん、男と間接キスですよ!?」
「そうかもしれねぇがあいつは危険だ。」
「男と間接キスしてしまいそうな土方さんの方が危険ですよ!!」


チッと、俺は舌打ちをする。
俺の言ってることは、単なる嫉妬に過ぎないと分っている。
みっともない事しているってのもよく分っている。
けれど、が坂田銀時と間接キスをするなんて考えるほうが気分が悪い。



「舌打ちされても、私はヤです。土方さんが男と間接キスするなんて!!」
「畜生…俺もイヤなんだよ。お前があんなやつと間接キスするなんて。」
「えっ…?」


は豆鉄砲を食らった鳩のように目を丸くした。
驚きの表情をかくせない様子だ。
俺は俺で、自分の言ったことを思い出して、溜息をつく。
なんだか急に恥ずかしくなって、思うように言葉がでない。







「その…あれだ。お前にはこれからも俺の警護してもらわねぇといけねぇからな。」






俺は、人生の4分の3は君と、過ごしたいと思っているんだ。













20045/2/11