私ね、貴方のこと愛してるわ。
その無愛想なところと、性格の悪い所とか。
私ね、貴方のこと愛してるの。
たとえ貴方が、この里を裏切っても
この愛だけは一生揺るがないの。
[ 何 も か も 、 変 わ ら ず 、 繰 り 返 す ]
イタチが里をぬけたのは、いつだったかしら。
青い青い空を眺めてそんな事を考えてみる。
覚えてるわけがない。
イタチが里を抜けたことを、私が覚えてるわけないわ。
けれど、すでに2、3年はたってるんじゃないかと思う。
あぁ、空が眩しいくらいに青い。
イタチも何処かでこの空をみてるんだろう。
私の傍にある川は、私の横をセラセラと流れて行く。
何事もなかったかのように流れて行く。
きっとこれは、海に続いてるんだろう。
当たり前の事を今さらながらに考えてしまう。
きっと、久しぶりにイタチのことなんか考えたから頭が可笑しくなったんだろう。
馬鹿みたいに、1人で勝手に憂鬱気分に浸ってる。
「………」
自分の名前を呼ばれてハッとした。
こんな真っ昼間っから、誰かが私の名前を呼ぶのだ。
あり得ない。
今日は任務のない日。
誰かに名前を呼ばれる筋合いなどない。
私はカカシかアスマかなと思い、名前を呼ぶ人を見る。
「イタ、チ……なの?」
思っても見ない人物の名前が口からでる。
上手く言葉がしゃべれない。
声が震えて吃る。
だって、ねぇ。
いやまさか。
ど う し て 貴 方 が い る の ?
「…っていうかその隣の人ってもしかして…」
自分は今、何をいいたのだろうか。
口からでてくる言葉は、統一性がないものばかり。
「…」
名前が、イタチが私の名前を呼んでる。
呼んでる 呼んでる。
夢?
まさか夢だなんてあり得ないよね。
「何、で…戻ってきちゃうの…?」
泣くな自分。
涙なんて流すなよ自分。
仮にも私は忍びだ。
だ か ら 泣 く な ! !
けど、そんなに甘くはないみたいだ。
泣くな、と思えば思うほど涙が頬を流れてしまう。
「なんで…、なんで戻ってくるのっ!!」
私はグズグズと鼻を啜りながら叫んだ。
目の前にいるのは里を捨てたイタチ。
その隣にいるのは霧隠れの抜け人 斬鮫。
その2人の前にいるのはこの里の上忍である私。
「あんたの帰りが遅すぎるから…、上忍になっちゃったじゃん私…っ!!」
涙で目が霞む。
そう、私は上忍。
私はこの里の上忍だ。
だから殺さなきゃいけない。
忍びなんだから、当たり前の事だ。
忍びなんだから。
「今さら、帰ってくんなよ馬鹿。」
私は立ち上がった。
さっきと同じように、速度を変える事なくセラセラと川は流れる。
セラセラセラセラ
うざったいくらいに変わらない速度。
変わらない音。
変わらない風景。
「これ以上、イタチとは会えない。
バイバイ、イタチ。」
ゆっくりと別れを告げる。
無言のイタチと、その隣で状況を理解しきれていない斬鮫。
私はクルリと方向転換してイタチに背をみせる。
「…」
イタチの声が私を呼び止める。
けれど振り返っちゃいけない。
振り返れば、2度と今の位置には戻れなくなってしまいそうだから。
だから振り向かない。
「…すまなかった」
何でそんなに切ない声でそんなこと言うの。
苦い、心が苦い。
そんな声で、貴方は私を呼び止めるの?
イタチ、卑怯よ。
せっかく振り向かない、って決めたのに。
どうしてその決心を鈍らせてしまうの。
貴方が謝るなんて、
貴方が私に謝るなんて…
「いつになっても私はイタチを大好きなまんまだから。
…イタチへの愛は、何があっても消えないから。」
振り向いて、私はそういう。
とびきりの笑顔で。
それでしか、私を押さえることができない。
押さえきれる感情なわけない。
けれど私は忍びだから。
この里の忍びだから。
けれど私は貴方を、イタチを愛してるから。
殺したくないから。
イタチ イタチ イタチ イタチ
イタイ イタイ イタイ イタイ
何なのこの胸の痛みは。
どうして今になって、貴方はココにきてしまうの。
どうして戻ってきてしまうの。
この愛を、
思い出させないでよ。
お願いだから、私の前から消えてよ。
イタチ、イタイ。
2004/10/12
悲恋。哀しい哀しい両思い。書いてて胸が痛くなるような悲恋。
戻る