好きなの。
もうどうしようもないくらい好きなの。





[        の   ]





私は談話室で凍えた身体を温めていた。
さっきまで、セブルスと一緒に実験をしてた私の身体はとても冷えている。
氷とか雪とか冷水とか、冷たいものばかりつかった実験だから手がかじかんで痛い。
私とセブルスは、グリフィンドールだけど小さい頃からの仲良しだった喧嘩とかはなかった。
それに2人共、実験が大好きだったからよく一緒に実験もするし、してた。

そんな私のもとにやってきたのは、シリウスだった。
冷えた身体を暖炉の側で温めている私に気付いてシリウスがやってきた。
シリウスは、談話室の出入り口から来た。


どうせまた、
夜遊びでもしてたんだろう。


私は一応、シリウス・ブラックの恋人だ。
告ったのは、私じゃなくてシリウスからだったけど私はシリウスの事が嫌いじゃなかった。
だから晴れて恋人同士になった。
セブルスにその話をしたら随分不機嫌そうにしてくれたけど、
私が好きならしょうがない、と言ってくれた。




「今晩わ、シリウス。」


私はシリウスの存在に気付いて、適当に挨拶をした。
正直な話、今はシリウスの顔や身体なんてみたくなかった。
だって、シリウスの顔や身体をみれば、違う女の子と遊んでたのを知ってしまうから。
シリウスは分かりやすい性格をしてるから、すぐ顔にでる。
それにヤり終わった後の服装は非情にだらしない。
だから、誰が見ても一目散に分る。


私は暖炉の火をみながら言った。
シリウスは、私の名前を呼ぶ。
その声が酷く情けない声だったので、私は自分の部屋へ戻ろうと腰をあげた。
今は出来る限りシリウスと関わりたくない。



「おやすみなさいシリウス。」


私はシリウスの方をむかないで一言だけそう言って、部屋へと向った。
けれどそれは、シリウスによって遮られる。




、お前何考えてんの?」



小さい声だったけど、はっきり聞こえた。
小さい声だったくせに、やけに力強い声だった。

私は立ち止まる。
というより、立ちどまざる終えない。



「何それシリウス?何考えてんの、って質問としてオカシーよ?」

私はとりあえず笑ってそう返した。
シリウスの顔はまだみていない。



「俺はオカシクねぇ。お前が、が一番オカシーよ。」


シリウスが私に近付いてくるのが分った。
どうしようもない感覚が私を襲った。
そんな中、私の口からでてきたのは拒絶の言葉。






「お願いだからシリウス、それ以上近付かないで…。」




私の方こそ情けない。
そう思っているのに、声は情けないままシリウスに届く。
シリウスはちょっと不機嫌そうに、はぁ?何で俺がお前に近付いちゃいけねーワケ?と言った。

私はシリウスの、はぁ?が嫌いだった。
何でそんなに偉そうに言うのか理解できなかった。

私は更に近付いてくるシリウスに身体をビクリとさせた。
驚きというより恐怖心が強いのかもしれない。
今の私は、シリウスと向き合うのを怖がっている。




「頼むよ。俺を…見てくれ。」



シリウスは私の腕を掴んで、この上ないくらい情けない声でいった。
私はその力なさに驚いて、つい振り向いてしまう。










あ ぁ 、 振 り 向 い て し ま っ た 。

私 は 何 て 情 け な い ん だ ろ う 。










そして、そう思うと同時に愕然とした。
どうみたってヤり終えてますだ、今のシリウスは。


私は泣きそうになるのを堪えて、何なの?と聞いた。
これ以上、シリウスと関わりたくない。
もう嫌だ。こんなのもう嫌だ。






「お前、俺の事嫌いになったならそう言えよ。」





シリウスの言葉に吃驚した。
私の何処をどうみたら、シリウスの事嫌いにみえるんだろうか。
こんなに好きなのに。
シリウスと関わりたくない程シリウスが好きなのに。
こういう難しい乙女心って、女誑しのシリウスには分らないの?

だけど、そう思う反面別れてしまおうとも思う。
だって疲れる。好きだけど、もう疲れた。うんざりする。
っていうか、シリウスをこれ以上好きになんてなりたくない。
どうせ泣きを見るのは私なんだから。
そう悲しむ前に手をきったほうがいいのかもしれない。


いや、きっと別れた方がいいんだ。
シリウスにとって私はいらない。
私のかわりなんていくらでもいるんだし。







「嫌い。私、シリウスの事大嫌いよ。もう顔もみたくない。
 だからもう私で遊ぶのはおしま…っ!!!」







その瞬間、



 唇 が 唇 で 塞 が れ る 。











「別れるなんて言ったら俺、お前の事殺すかも。」



シリウスの嫌みったらしい笑顔が目の前に浮かぶ。







「お前が俺を放し飼いにするから俺は他の女とヤる。
 俺だって好きでヤってるわけじゃねぇ。半分習性化してんだよ。」




はぁ?って顔で睨んでもそれは無意味。
少し悲しそうな顔をしているけどシリウスはいつも通りの偉そうな笑顔を浮かべる。

何でそんなに自分主体で物事考えられるんだろう。
半分習性化してる、なんて理由で許せるわけないのに?
なのにどうしてそんな嘘をならべるの?
私に飽きたんなら、貴方が私を振ればいいじゃない。





「俺はちゃんとお前のコト…、俺はの事しかスキじゃない。
 だけどその、習性ってのが中々抜けなくてよ。悪いと思ってる。」





お願いだからそんな顔しないでよ。
どうしてそんなに泣きそうなの?
泣きたいのは私よ?










「だから俺のこと…、手放さないでくれよ」








どうして私は毎回ここで、
貴方の事がどうしようもなく好きなの
と言ってしまうのだろう。













2005/3/28