「殺して欲しいのよ、ルーピン。」
「馬鹿なことを言わないでくれよ。なんで僕がを…?」
[ 生 き て い く た め の 真 意 を 私 に ]
「私は、ルーピンになら殺されてもイイと思うわ。
殺されてもいいというより、私は貴方に殺されたい。」
ルーピンは、何馬鹿な事を、という風に呆れてみせた。
いつもの甘い笑顔というより、どちらかというとだらしない笑みが顔に浮かぶ。
だらしない?いや、苦笑ってかんじだ。
「もう嫌なのよ。」
「何がだい?」
「すべてがよ」
「それは漠然としすぎだよ。」
「ねぇルーピン、貴方は『すべて』が嫌になる事を漠然としすぎと考えてるの?」
「そうだね。だってが殺されたいという理由が『すべて』なんて僕は認めたくない。」
「そう…しょうがないわよね。だけどルーピン、生きる事の方が漠然としすぎだとは考えないの?」
私は、ルーピンの隣に腰を下ろした。
ソファに腰が埋まっていく。
「そうだね。君の言う通り、確かに生きる事は漠然としている。
でも僕は、『漠然とした中』で生きているつもりはないよ。」
「それは理由があるからよルーピン。ルーピンは生きる理由、
もしくは生き延びなきゃいけない理由があるから『漠然とした中』でも生きられるのよ。」
「…でも私は違う?」
「そう、ルーピンの言うとおり私は違う。」
馬鹿な事を、さっきと同じように笑うルーピン。
その微妙な笑いが怖い。
けれど私は怯まない。
「私は生きる事に何かあるとは思えない。
だから愛する人に殺されたい。いや、殺されて『死』にたいの。」
ハッキリと死を主張すると、ルーピンも私の言う事を本当に受け止めてくれたらしい。
これが私の真意だと認めてくれたようだ。
溜息をついたルーピンはそっと私を抱き寄せた。
その瞬間、ふわりとイロイロなルーピンの臭いが鼻をかすめた。
その匂いにドキリとする。
「冗談、キツイよ。」
ルーピンの胸に頭を持たれかけた私の耳に、あの甘い声が響く。
「僕の生きる理由はなのに、君が僕の前からいなくなったら僕はどうなるんだ。
人狼である僕を愛して、人狼である僕に生きて欲しいと言った君を、僕は失いたくないよ。
だから…僕の前からいなくなったりしないでくれないか。」
ルーピンの手が私の髪をゆっくりと撫でた。
温かい温度に目眩がする。
私はね、貴方を愛しているの。
だから、
だから、貴方に殺されたいの。
貴方を愛しているから
だから貴方に殺されたいの。
だからって貴方には悲しまないで欲しいし、私の分まで貴方には生きて欲しいと思うの。
「…ごめんねルーピン。」
私はただ、謝るしか出来なかった。
何故だか分らないけど謝って、ルーピンの背中をしっかり抱く事しかできなかった。
2005/2/11